伝統工芸と言っても、すでに洗練されアートの域に達して観賞用となっている民芸よりは、伝統がありながらも、今も素材作りの工程なども見ることができて、日常に使う楽しみのある民具作りの良さ、面白さを、より深く知りたいと思うところがある。
九州を選んだのは、日本に伝わる竹細工、織物、焼き物などが地域産業として続いているところが比較的多く点在しているということ、イコール見たいものが多いということ。
久留米絣
福岡空港からバスで八女郡広川へ、八女茶で有名な地域でもある。
途中まで迎えに来てくださって、地域のことなどを聞きながらお宅へ到着すると、母屋と藍工房の間の庭先には、高い物干しに藍で染められた糸や反物が干されている。 藍甕を前に、藍についてのお話を伺い、作品を集めた部屋でお茶をいただきながら、絣の反物などをみせていただく。
十数個ある藍甕、藍は発酵の調子で染まり具合が変わってくるそうで、甕をかきまぜたり、冬場は温度を保つために和ろうそくの材料のハゼの搾りかすを炊くのが、毎日の作業であるということ。 その作業ひとつひとつが藍に影響するので、とても繊細な作業である。
絣は、考案した柄が織り上がるように括った糸を染め、手機で織って布を作る。
とひと言で書いてしまうとわけもない話に聞こえてしまうが、藍は濃淡を何段階にも染め分けることができるので、その色の濃淡を組み合わせてデザインされた図柄から、経糸と横糸を括る(絞る)位置を割り出し、藍に浸す回数を変えるのはとても高度な技術で、綿密な設計図のような織り図を見せていただくと、その複雑さがうかがわれる。
山村工房では、ご家族ですべての工程にかかわって久留米絣を作っておられるが、驚くほど手間と時間のかかる工程(八女の手仕事より)に、手仕事への愛を感じる。
できることなら丸一反欲しいところだけれど、それなりのお値段のするものなので、ほんの少ししか買えない、けれど洗うほどに味が出る藍染めなので、普段持ったり着たりするものを作りたいと思っている。 エコを叫ぶ時代に、現代の民具がいかに意味があるものなのか、それを見い出して使ってみるのが一番と思うからだ。
久留米、八女地域は、久留米絣以外にもいくつもの伝統工芸が残っている地域なので、仲間と一緒に行くのが楽しみだ。
追記:工房の訪問を快く受けてくださった山村さんご夫婦、帰ってから工房のブログを読んでいたら、ミナペルホネンの皆川さんが作る服が好きと書いてあるのをみつけて、あーどこかでつながってたんだー と、嬉しくなった。
0 件のコメント:
コメントを投稿