奄美に着いてすぐに気がつくのは、ハワイと同じ植物が多い
こと。 ハワイのハラの木と同種のアダンが沢山ある。 ハワイでもハラ・グローブと言って、群生している場所がまだ残っているが、奄美でも群生するアダンは、あちこちの海岸で防風林の役目を果たしている。
どんどん上へ伸びていくハワイのハラと比べると、アダンは背が低く、手を伸ばせばすぐに届く所に葉っぱがあるのだが、奄美には
ハブが多いと知っては、おいそれと茂みに踏みこんで行くわけにはいかない。 葉っぱそのものはハラと比べると細く短く、やはり湿気の多い奄美ではカビも多く、いい葉を集めるのはそう簡単ではなかった。
葉っぱを集めるにあたっては、滞在先のホテルの庭の枯葉を取らせてもらったり、群生地があることで知られる “あやまる岬” にも足を伸ばした。
植物分類上、“アダン” と “ハラ” の二種は、どちらも タコノキ科(Pandanaceae)、 タコノキ属(Pandanus) 、 テクトリアス種(Pandanus Tectorius)である。 原産はアジアの熱帯~亜熱帯・太平洋諸島・熱帯アフリカ・マダガスカル南太平洋と、広域に分布している。
アダン
奄美で見られるもう一種 ビヨウタコノキ。 ユーティリス種(Pandanus Utilis)は、公園や道路の街路樹などに植えられている。 明らかに近年になって外から持ち込まれた種のようだ。 地元の人も アダンとは区別して タコノキと呼んでいる(本当はどっちもタコノキなんだけど)。 マダガスカルとモーリシャスが原産で、ビヨウとは美容とか美葉とも書くらしいが、タコノキの中でももっとも姿が美しいとされる。
ビヨウタコノキ
ビヨウタコノキは 別名アカタコノキとも呼ばれている。 確かに、葉の根元やトゲが赤い 。
そして、奄美のアダンと言えばこれをはずすことはできない。 熱帯の自然の妖艶なまでの生命力を描くことに生涯をついやした画家 田中一村の代表的な作品「アダンの木」の画。
奄美パークにある一村の記念美術館を訪れ、こころを動かされる多くの作品に出会ったことで、奄美の旅はよりいっそう色濃い思い出となった。
奄美で採取したアダン葉は、日本にいる間にきれいにし、伸して、クカアを作るところまでやってハワイへ持ち帰った。 それぞれ、どこのアダンの木の葉なのかをクカアに書き記してあるので、その名前を見ては、奄美へと思いを馳せている。
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