3/02/2013
ラウハラ帽子
頼まれていた帽子を編み終えた。
依頼人は、私の持っている帽子の中からひとつを選んで、「これと同じサイズで同じスタイルのもの」とメモを残していったのだが、それはアンティ・マルイヒの帽子。 アンティから習った基本的なスタイルなので、ほぼ同じ感じに仕上げることができた。
昨年はあるところからの依頼で、大きなバッグばかりをいくつも編んでいたので、しばらくは大物を編む気にならなかったのだけど、帽子を編んでいると、これが楽しくて、多くのウィーバーが帽子を編むことにはまるのがよくわかる。
そして自分なりに、こうしたい、ああしたいと、出来ばえを見ながら次の帽子のことを考えていることに気がつく。
偶然この帽子を見せたのがマスター・ウィーバー、故アンティ・リリーの末娘。 「アンティはこれを陽にかざして、編み目に隙間がないか見るんだよね?」と言うと、「一度帽子に水を入れたことがあるわよ。ヒロは雨が降るんだから、ウォータープルーフじゃないとダメよって言ってね」と。
冗談とも取れるけど、本気の一言。
そして、「とにかく何度も編み直しさせられたわよ。曲がってる、色が合ってないって、うるさく言われたわ」とも。 そんなことが理由だったのか、マスター・ウィーバーを親に持ちながら、ラウハラ編みをしてこなかった彼女も、リリーの没後に改めて習い始めた。 そして彼女の口から聞くアンティ・リリーの言ったことこそが、次に編む帽子への課題として、私の心に残るのだ。
でもコナの帽子はどうだろう? 雨は降らないし、編み目が隙けている方が涼しくていいんじゃないの?(笑) これは冗談。
かつてコナで暮らし、アンティ・リリーともつながりのあったもう一人のマスター・ウィーバー、オアフ島のアンティ・グラディスが、この1月に他界した。 彼女たちの世代で今も活発にラウハラを編み、その技術を伝えているウィーバーはもう本当に少数になってしまった。 タッチの差でこの世代から習うことができたことは本当にラッキーだと思う。
また帽子を編み始めよう。
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