ドリームハットと名付けられた帽子を編んでいる。
クム・アンティ・リリーがどこかで見た帽子、その編み方を夢に見て、起きて編みあげたという逸話のある帽子を、アンティに敬意を表してこの夏の大会で被ろうという提案があったので、私も編むことにした。
鮫の歯を意味するギザギザ模様ニホニホは、古いラウハラ編みの本などでよく見るシンプルなパターンだけど、綺麗に編むのはけっこうむづかしく、シンプルな、単純な、基礎こそ、丁寧に仕上げる大切さを感じる。
2年前に他界したアンティ・リリーの帽子を習うのは始めてだけれど、それを教えてくれる人がいる。「アンティはこう言ってたよね、」と習った当時の話をしながら、初めて作る人たちにその帽子の編み方を伝える。
私に帽子教えてくれたアンティ・エリザベスの帽子を、そうやって、私も伝えられるようになるべきなのかも知れない。
師へのお返しというのは、自分にしてくれたことを、他の人にしてあげる、そうあるべきだと、ラウハラ編みを習う環境にいてそう思う。
文化の継承の大切さばかりか、深さや重さというものにも、少しづつ目が向くようになってきた気がする。
習ったことへのお返し、いろんな形があるけれど、自然の恵みから生まれた最高にエコなクラフトの魅力と、それを大事にする心が、伝わり広がっていったらいいと思う。